2020年の東京オリンピック、海外からの旅行者や人手不足などに対応するため、現金を使わない「キャッシュレス化」社会を推進する中で、スマートファンにバーコードQRコードを表示して買い物するQRコード決済に参入する企業が相次いでいます。
ヤフーの「Yahoo! ウォレット」、LINEの「LINE Pay」、楽天の「楽天ペイ」といった大手IT企業のほか、ベンチャー企業Origamiの「Origami Pay」がQRコード決済サービスを展開しています。また、メガバンクなどの金融機関、セブンイレブン、ローソンなどの小売企業もサービス開始予定と、日本国内で現金・クレジットカード・電子マネーに代わる新たな決済手段として盛り上がりを見せています。
2018年4月より、NTTドコモもQRコード決済サービス「d払い」がスタートしました。ドコモには、おサイフケータイの「iD」がありますが、「d払い」と何が違うのか分かりづらいところもあります。
そこで、「d払い」とは、利用するメリット・デメリットなどを説明します。
ドコモの「d払い」とは
まず、「QRコード決済」とは、その名の通り「QRコード」を用いた決済手段です。専用アプリをスマートフィンにインストールして、買い物する際に、アプリ画面上に表示されたQRコードやバーコードをレジの店員さんにピッとスキャンしてもらうだけで買い物ができます。
電子決済のメリットとして、
- 会計時間が現金よりも短い
- 小銭で財布がかさばらない
- ポイント還元でお得
- 現金の引き出しが不要
現金不要で買い物ができるため、小銭を数えたり、おつりをもらうなどの手間がなくなり、レジでの会計時間が大幅に短縮できます。利用履歴をスマホで確認できるため、レシートを貯めておく必要もなくなり、つり銭の硬貨やレシートで財布がパンパンに膨れることもなくなります。
ポイント還元を行っている場合が多く、現金で支払うよりもお得に買い物することができます。また、現金で支払うことを辞めることで、ATMや銀行で現金を引き出す手間がなくなり、ATM時間外手数料という余分な出費も抑えることにもつながります。
そのQRコード決済の1つが「d払い」です。
AndroidスマホはGoogle Playから、iPhoneはApp Storeから、d払いアプリをダウンロードした後、1分程度で済む簡単な初期設定を行うだけで、すぐ利用できます。
d払いアプリの対応機種は、Androidスマホ(Android OS:5.0以上)で、iPhone(iOS:10.1以上)です。フィーチャーフォンやタブレットでは利用できません。
街中のお店や飲食店での会計時に、d払いアプリに表示されたQRコード(バーコード)を提示するだけで、簡単に支払いができ、支払いが完了すると、レシートメール(決済情報)が表示されます。
- d払い加盟店でd払いアプリを起動し、バーコード(またはQRコード)を表示
- 店舗レジでバーコードを読み取ることで決済完了
- 支払額200円(税込)につき1ポイント(還元率0.5%)
支払額200円(税込)あたり1ポイント(還元率0.5%)が貯まります。現在、ポイント2倍キャンペーンを7月31日まで延長しており、200円(税込)につき2ポイント(還元率1.0%)となっています。
保有しているdポイントやドコモ口座の残高を支払金額の全額または一部に利用することもでき、期間・用途限定のdポイントも無駄なく使いきることができるのも魅力です。
ドコモは、後払い方式の電子マネー「iD」をすでに提供していますが、QRコード決済サービスを新たに開始することで、クレジットカードを持たない人、おサイフケータイの設定が面倒で使いたくない人でも、キャッシュレスの決済方法を使いやすくする狙いがあります。
「d払い」アプリの支払い方法
d払いを利用した時の請求額の料金支払い方法は2つあります。
毎月の電話料金と合算して払う
月々の携帯電話代と合算して一緒に支払う「電話料金合算払い」が可能です。利用した分の請求は、翌月の携帯電話の利用料金に合算されます。これにより、クレジットカードを持たない人でも、後払い方式で買い物ができるようになりました。
「電話料金合算払い」の利用限度額は、1万円・3万円・5万円の範囲内で、契約状況や利用状況によって最大10万円まで増額設定することも可能です。
契約年数15年以上のプラチナステージで、毎月の携帯料金1万円前後、d払いで毎月5,000円~1万円程度買い物していますが、電話料金合算払い(ご利用可能残高)が、最初から10万円に設定されていたので、恐らく、契約年数や延滞してないかなどが重視されているかと思います。
契約者が未成年の場合、利用可能の上限金額は1万円に設定されており、それ以上利用することはできない仕組みになっています。まったく使いたくない、使わせたくない場合には0円に設定することもできるので、使い過ぎが心配な場合、未成年の保護者にも安心です。
年齢 | 契約期間 | 利用可能限度額 |
未成年 | ― | 1万円/月 |
20歳以上 | 1~3か月目 | 1万円/月 |
4~24か月目 | 3万円/月 | |
25か月目以降 | 5万円/月 |
電子決済だと便利でついつい使いすぎちゃう人や未成年の保護者でも、毎月いくらまで利用可能と上限を設定できるので、保護者が子供のスマートフォンでd払いを使えないようにする設定も可能です。使い過ぎが心配な場合でも安心できます。
電話料金に合算できる残高が、設定した金額を下回った場合(初期設定は3,000円)にアラートを表示いたします。お支払い画面で!マークが表示されています。
設定可能ご利用限度額は、d払い / ドコモ払い(電話料金合算払い)で共通です。
クレジットカード払い
クレジットカード払いにも対応しており、登録できるクレジットカードは、dカードを含む「VISA」または「MasterCard」のカードです。
JCBカードは登録できない点に注意してください。電話料金合算払いなら、JCBカードでも支払うことが可能です。
クレジットカード払いでもdポイントとカード会社のポイントのダブル取りができそうですね。今のところ付与対象外とのアナウンスがないので。
「d払い」アプリを使うメリット
チャージ不要「d払い」アプリを利用したメリットを書いてます。
還元率0.5%~1%のdポイントを獲得できる
d払い加盟店のお店・飲食店で支払うときに、d払いアプリを利用すると、支払金額200円(税込)につき1ポイント(還元率0.5%)のdポイントが貯まります。インターネット(通販サイトなど)の利用では、リアル店舗の2倍の100円(税込)につき1ポイントを獲得できます。
税抜ではなく税込なので、端数が無駄になりにくく、効率的にポイントを貯めることができるのが地味にデカいです。
「毎週おトクなd曜日キャンペーン」として、7月・8月・9月の3か月間限定で、必ず3倍、合計5回以上の購入で+4倍の7倍となるポイント増量キャンペーンが開催中です。
キャンペーンにエントリーし、対象日(金曜日・土曜日)に、d払い(ネット・街のお店)で買い物するだけで、期間・用途限定ポイントのエントリーポイントが獲得できます。
- ネット:100円につき3ポイント(通常ポイント1P+期間・用途限定ポイント2P)
- 街のお店:200円につき3ポイント(通常ポイント1P+期間・用途限定ポイント2P)
エントリー前の購入は対象外なので、忘れずに申し込んでおきましょう。
インターネット・街のお店共通で、合計5回以上購入すると、買い回りポイントとして、さらに+4ポイント(期間・用途限定ポイント)のdポイントが付与されます。ただ、買い回りポイントは、ネットのお店(1決済3,000円(税込)以上)、街のお店(1決済2,000円以上)の買い物が対象なので、注意しましょう。
最大7倍となるので、7月・8月・9月にd払い加盟店の通販サイト・店舗で買い物する人は、要チェックです。
dポイント(期間・用途限定)やドコモ口座の残高も使える
dポイントは1ポイント1円で使うことができ、d払いでも期間・用途限定のポイントを利用できます。
アプリの「dポイントで支払う」ボタンをタップ(押すとボタン部分が赤く変化します)して、レジの店員さんにQRコードを提示するだけです。購入金額がdポイント充当分よりも高い場合は、差額が登録した方法((携帯電話料金合算払いまたはクレジットカード払い)から請求されます。
ドコモ口座の残高も同じように利用できるので、ドコモ口座に入会している人は、利用先が増えるので使い勝手がよくなります。dポイントとドコモ口座の残高をまとめて一緒に充当できないので、その都度、設定画面で変更する必要があります。
通常ポイントの有効期限は48か月ですが、期間・用途限定ポイントは数か月と有効期限が短く、使わないうちに失効したことがよくあります。特に買いたい商品がないけど、期限切れ間近の数百ポイントのために、わざわざネットショッピングするのも家計に悪いですよね。
しかし、コンビニやドラッグストアなどよく利用する機会が多い場所で使えるなら、無駄なく使いきることができるので、今まで以上に期間・用途限定ポイントが使いやすくなります。
おサイフケータイ(Felica)非対応のSIMフリースマホ、Apple Payが使えないiPhoneでもスマホ決済ができる
d払いはキャリアフリーのサービスで、ドコモのスマホ以外の人でも利用できます。アプリをインストールできるスマホ(現時点で、ガラゲー・タブレットは利用できません)は、Androidスマホ(Android OS:5.0以上)とiPhone(iOS:10.1以上)です。
QRコードを利用する支払方法なので、おサイフケータイ機能(FelicaやNFC)がないSIMフリーのスマホ、Apple Payが使えないiPhoneなど機種・メーカーを問わず、どの端末でも利用できるのが魅力です。
交通機関や店舗での支払いにApple Payを使用できるモデルは、iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone X、日本国内で販売されたiPhone 7 iPhone 7 Plusです。7より古い機種は利用できません。
SIMフリーの格安スマホは、おサイフケータイ機能がない機種が多く、古いモデルのiPhoneの人でも、dアカウントを作成すれば、キャッシュレスで買い物ができるようになります。
新規登録・機種変更時の手続きが簡単
d払いアプリを使うための初期設定ですが、ドコモユーザーであれば面倒な登録をする必要がなく、すぐに利用することができます。携帯代を支払っているクレジットカードの情報が表示されるのは、dアカウントに紐づけされているからです。機種変更するときも、同じ手順で簡単です。
- スマホに「d払い」アプリをインストール
- dアカウントと紐づけされており、1分程度で初期設定が終了
一方、後払い方式(ポストペイ型)の「iD」だと、利用開始するまでに時間がかかります。
- クレジットカード会社に「iD」の申し込みをする
- 利用開始に必要なパスワードなどが記載された案内が届く
- スマホに「iD」アプリをインストール
- 会員番号やパスワードなどのカード情報を登録して初期設定が終了
d払いだと速攻で利用できるのに対して、iDだと申込しこんでから1週間程度は日数が必要です。特に、おサイフケータイが面倒なのは、機種変更時のデータ移行です。
おサイフケータイだと、機種変更前の端末のカード情報を一度預けて、新しい端末でカード情報を再度受け取る必要があります。手間がかかり、めんどくさいのですが、事前にチャージするプリペイド式の電子マネーのだと、データ移行を忘れると残高がパーになるのでやらざるおえません。
d払いだと、dアカウントに紐づけされているので、データ移行の手間が小さく簡単に機種変更ができるのも魅力で、既存の電子マネーよりも利用するハードルが低いのが特徴です。
利用するメリットについて書きましたが、次からは、d払いを実際に利用した感想をまとめてます。
「d払いアプリ」を実際に利用した感想
d払い
株式会社NTTドコモ無料posted withアプリーチ
実際にスマホにd払いアプリをインストールして利用してみました。
JCBカードでd払いを利用するには、電話料金合算払い
初期設定画面で、以下の文言が表示されました。
「電話料金合算払いをご利用になれません。恐れ入りますが、クレジットカードを登録してください。」
あれ?クレジットカードを登録しなくてもいいんじゃないの?と疑問に思ってヘルプページを見ると、d払い・ドコモ払いで、電話料金合算払いができるのは、「VISA」「Mastercard」のブランドのカードだけです。
なるほど、JCBカードで支払っていると、利用できないんですね。ドコモのクレジットカードサービス(発行会社は三井住友カード)である「dカード」「dカード GOLD」のブランドは、「VISA」「Mastercard」だけなので、そのへんの兼ね合いもありそうですね。
電話料金の支払いに、JCBブランドのクレジットカードを登録している人は、d払い・ドコモ払いの電話料金合算払いが利用できません。
記事作成時は、JCBカードだと、上記のようにd払い自体が利用できなかったのですが、今は、JCBカードでも電話料金合算払いでd払いが利用できるようになっています。
ドコモの携帯料金を支払っているクレジットカードが、電話料金合算払いに登録されるクレジットカードです。
利用できる店舗が少ない。おサイフケータイのほうが早い
実際にお店で支払ってみた感想です。
まず、使えるお店が少なすぎです。サービス開始したばかりなのでしかたありませんが、現状では、タワーレコード、ユナイテッドアローズ、和民、ツルハドラッグなど。今後の課題ですね。
コンビニですら利用できない(2018年夏以降にローソンで利用可能)ので、ポイント目当てじゃないとわざわざ使おうと思わないですね。2018年9月11日より全国のローソンで利用可能に。
実際に試すと、確かに現金払いより楽ですが、サイフケータイ決済(idやQUICPayなど)のほうが会計時間は短時間です。QRコード決済だと数十秒遅いです。
QRコード決済だと、
- アプリを立ち上げる
- 「支払いはd払い」と言う
- 画面をレジの店員さんに提示する
- QRコードを読み取ってもらう
一方、おサイフケータイだと、
- 「支払いはiD」と言う
- レジの端末にスマホをかざす
「スマホをかざすだけ」と「アプリを立ち上げ、QRコードをスキャンしてもらう」では、普段からおサイフケータイで買い物していたら、ひと手間増え、めんどくさいと感じました。
おサイフケータイにはないメリットして、セキュリティのロックがしやすいです。おサイフケータイ機能をロックするには、じゃっかん手間です。
「設定」→「NFC/おサイフケータイ設定」→パスワード入力
ガラゲーだと利用後〇分経過で自動ロック機能があって便利だったんですが、Xperiaにはありません。d払いだと、QRコードを表示しなければいいので、画面ロックで不正使用を防止できる点は楽です。
それ以外は、すでにおサイフケータイを使っている人にとって、乗り換えるメリット(ポイント目当ては別)は少ないと感じます。
まとめ
現金至上主義の日本で、キャッシュレスは根付くのでしょうか。経済産業省は、約20%のキャッシュレス決済の比率を2025年(大阪・関西万博)には倍の40%に拡大し、将来的には世界最高水準の80%を目指すそうです。
2018年に入り、LINEが「LINE Pay」、楽天が「楽天ペイ」をサービス開始。その他にもメガバンクなどモバイル決済に参入する企業が相次いでいます。おサイフケータイ決済と比較して、QRコード決済は導入コストが低いと言われています。各社がQRコード決済の普及に力を入れており、これまで出遅れていたキャッシュレス社会に本格的に突入しそうなですね。現状ではまだまだですが。
すでにおサイフケータイを利用しているなら、d払いに乗り換えるメリットは少ないです。現状ではコンビニですら利用できず、普段の生活で使えるとは言えません。加盟店拡大はドコモに頑張ってもらうしかありません。
d払いを利用する最大のメリットは、やはり、dポイントです。ドコモは、d払いを普及させるため、ポイント増量キャンペーンを開催しており、他の電子マネーで支払うよりポイント還元率が高くおトクになります。ポイント目当てなら積極的に利用したほうが良いです。
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ドコモ「d払い」が、ローソンで9月11日より利用可能に。dポイント10倍キャンペーンは見逃せない!
NTTドコモが提供するQRコード決済「d払い」(街のお店)が、2018年9月11日(火)からローソン全店舗で利用可能になりました。 全国のローソン、ナチュラルローソン、ローソンストア100の合計1万4 ...