広島電鉄などの事業者でつくるPASPY運営協議会は、カード型IC乗車券PASPY(パスピー)を2025年3月末までに順次サービス終了することを正式に発表しました。PASPY廃止する代わりに、広島電鉄は、新しい乗車券システムの開発に着手し、2024年10月にサービス開始予定であるとしました。
2025年3月以降は、広島電鉄だけでなく、アストラムラインや他のバス会社でもPASPYが利用できなくなります。払い戻しなどの取り扱いについては、後日詳細が決まり次第、PASPY公式サイトにて告知するそうです。記名式PASPY、無記名式PASPY、PASPY定期券には、500円のデポジット(預かり金)が含まれているので、新サービス移行後に払い戻しをすることを忘れずに覚えておきましょう。
現在は、カード内残額から手数料(200円)を差し引いた金額と、デポジット500円が払い戻されます。PASPY側の都合でサービス廃止となるため、手数料不要になるはずです。
PASPYは、2008年1月26日からサービスを開始し、広島県内と近郊の32社の公共交通機関で利用できる交通系の非接触型ICカードです。近年も利用エリアを拡大し続けていたものの、機器の老朽化による更新費用の見込みが高額になり、システムの維持が困難であるとして、サービス終了の結論に達したとのこと。
中国新聞によると、7、8年ごとのシステム更新費用に約40億円が必要で、PASPY運営協議会に参加する32社が利用比率に応じて分担しています。利用者の多い広島電鉄は、その半額を支払っているとのこと。広島電鉄は、QRコードへ移行することで、このコストを大幅に減らすことが可能になるとしています。
新方式の乗車券システムは、スマホでチャージ・定期券の購入、利用履歴の閲覧が可能。アストラムラインは不参加でICOCA導入!
PASPYに代わる新たな決済手段として、広島電鉄は、スマートフォンに表示させたQRコードや新たな交通系ICカードを導入します。新方式の乗車券システムは、2024年10月頃にサービス開始予定です。
乗車・降車時に、スマートフォンに表示させたQRコードを車内の読み取り機にかざすことで運賃の精算ができます。新しいサービスは、会員登録制で、クレジットカードまたは銀行口座の登録が必要です。
利用者は、窓口を訪れることなく、スマートフォン・パソコンからオンラインチャージや定期券の購入、利用履歴の閲覧ができるようになります。これにより、交通費精算・家計簿アプリなど他社サービスとの連携がしやすくなりそうです。
現在、PASPYで導入されている各種割引サービス(定率割引や乗継割引、共通定期券制度など)は、新しいサービスでも継続されます。また、柔軟な運賃設定がしやすくなるため、時間帯や曜日に応じて運賃を変える新たな制度の導入も検討しているとのこと。
一方で、JR西日本のICOCA(イコカ)などの他社の交通系ICカードは、新サービス移行後も引き続き利用可能かどうか未定だとしています。
新サービスの概要
- スマートフォンやパソコンから会員登録が必須。
- クレジットカードまたは銀行口座の登録が必要。
- スマートフォンでチャージや定期券の購入、利用履歴の閲覧が可能。
- 現在の割引サービスは継続予定。
- 時間帯や曜日に応じて運賃が変わる価格変動制の導入を検討。
新しい決済手段は、2024年10月からの運用を想定しており、広電とグループ会社(芸陽バスや備北交通、宮島松大汽船など)が導入を決定しています。他のバス会社は、参加するかどうか態度を明らかにしておらず、どこまで利用エリアが広がるか不透明な状況です。
すでに、アストラムラインを運行する広島高速交通は、新しい乗車券サービスに不参加を表明しました。JR西日本と交通系ICカード「ICOCA(イコカ)」の導入で合意し、2024年度中に切り替える方針です。連絡定期券(JRとアストラムラインにまたがる区間を一枚の定期券で販売)も導入に向けて検討しており、通勤・通学で、JRとアストラムライン両方を利用する人は、定期券を1枚にまとめることができて利便性が向上します。
PASPY終了、新たな乗車券システムの詳細は、PASPYや広島電鉄のサイトで確認してください。